倒叙ミステリーとは、初めに犯人や犯行過程が明らかになり、主人公が犯人となって、犯人目線で物事が進行する形式のミステリー小説です。
なので、通常のミステリが『犯人を追い詰めていくのか。』のに対して、
倒叙では、『犯人が追い詰められていくのか。』が重要になります。
目次
倒叙について
倒叙とは
倒叙ミステリー【inverted detective fiction】、逆さまの探偵小説とも言われています。
まず、倒叙の意味について説明していきます。
- 物事の時間的流れと逆の順序で叙述すること。
- また、推理小説の手法で犯人側から叙述すること。
とあります。
通常のミステリーとの違い
通常のミステリー
通常のミステリーでは、
- 死体発見・登場人物の登場
- 捜査が進み、疑わしい人物が挙げられていく
- 探偵役が犯行のトリックを看破し、動かぬ証拠によって犯人を特定
- 犯人が事件の真相を語る
概ね推理小説ではこのような順序でストーリーが進行していきます。
世界初のミステリー小説といわれている、エドガー・アラン・ポーの『モルグ街の殺人』もこの形式になっています。
倒叙ミステリー
倒叙ミステリーでは、
- 主人公(犯人)が殺人を犯す
- 犯人が事件から逃げる
- 捜査が進み、犯人が追い詰められていく
- 探偵役が犯人を特定
- 犯人が事件の真相を語る
倒叙形式では、はじめに犯人が分かった状態でストーリーが進行していきます。
倒叙ミステリー
倒叙ミステリーの魅力
はじめに犯人が分かってしまうなんてネタバレじゃないか!
という意見があると思います。
ミステリー小説において、ネタバレ、犯人や犯行の手法が分かってしまうことは禁忌ですよね。
しかし、倒叙ミステリーの魅力はここにあると思います。
倒叙ミステリーでは、犯人目線で物語が進む特性上、より犯人に共感しやすくなっています。なぜ被害者を殺害するに至ったか、犯人が徐々に追い詰められていく心情など、普通のミステリー小説では味わうことのできない話を楽しめます。
三大倒叙ミステリー
倒叙ミステリーには、【三大倒叙ミステリー】と呼ばれている作品があります。
その作品というのが、
- フランシス・アイルズ 『殺意』
- F・W・クロフツ 『クロイドン発12時30分』
- リチャード・ハル 『叔母殺人事件』
の3つです。
フランシス・アイルズ 『殺意』
F・W・クロフツ 『クロイドン発12時30分』
リチャード・ハル 『叔母殺人事件』
おすすめの倒叙ミステリー小説
ここでは、三大倒叙ミステリーとは別でおすすめの倒叙ミステリー作品を紹介していきます。