国内編
1位:『64(ロクヨン)』横山秀夫
~ あらすじ ~
D県警の三上義信は46歳にして20年ぶり2度目の広報室への人事異動をくらった。1度目のときは捨て鉢な態度で職務につき広報マン失格。1年で刑事に戻れたものの、人事異動へ怯えが精勤を支え、結果、刑事として確かな実績を作ってきた。だがしかし――。職能を見限られた気はしたものの、前のような愚はおかさず、警務部長の意向に沿うだけではない、広報室に改革に乗り出し、記者との歪な関係も解消されてきていた。そんな矢先、ひとり娘のあゆみが失踪した。全国への捜索手配を警務部の赤間に願い出た三上は、上司に服従するほかなくなったのだった。 変節をした三上が、記者クラブと加害者のやっかいな匿名問題で対立する中、警察庁長官による、時効まであと1年と少しの「64(ロクヨン)」視察が1週間後に決定した。64とは、たった7日間の昭和64年に発生した「翔子ちゃん誘拐殺人事件」を指す刑事部内での符丁だった。遺族の雨宮に長官慰問の件を知らせに行くとけんもほろろに断られる。なぜここまで雨宮と拗れたのか。雨宮を懐柔するための情報を得ようと、当時の捜査員など64関係者にあたるうち、刑事部と警務部の間に鉄のカーテンが引かれていることを知る。それには元捜査員が口を滑らした「幸田メモ」が関わっているらしい。警務部で「陰のエース」の名を恣にする三上の同期・二渡真治も幸田メモに関して動いていた。幸田メモの真相をつきとめ、警察庁長官の視察の新の目的をさぐるために動く三上の前に二渡が現れる。二渡は名将の誉れ高く、8年前に退官した尾坂部の家に入っていった。
2位:『ソロモンの偽証』宮部みゆき
~ あらすじ ~
クリスマス未明、一人の中学生が転落死した。柏木卓也、14歳。彼はなぜ死んだのか。殺人か、自殺か。謎の死への疑念が広がる中、“同級生の犯行”を告発する手紙が関係者に届く。さらに、過剰報道によって学校、保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まった――。ひとつの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。それに抗し、真実を求める生徒たちを描いた、現代ミステリーの最高峰。
3位:『機龍警察 暗黒市場』月村了衛
~ あらすじ ~
警視庁との契約を解除されたユーリ・オズノフ元警部は、旧知のロシアン・マフィアと組んで武器密売に手を染める。一方、市場に流出した新型機甲兵装が〈龍機兵〉の同型機ではとの疑念を抱く沖津特捜部長は、ブラックマーケット壊滅作戦に着手した。ロシアの歴史と腐敗が生んだ最悪の犯罪社会に特捜部はどう立ち向かうのか。吉川英治文学新人賞に輝く世界標準の大河警察小説。
4位:『幽女の如き怨むもの』三津田信三
~ あらすじ ~
十三歳で遊女となるべく売られた少女。“緋桜”と名付けられ、身を置いた世界は苦痛悲哀余りある生き地獄だった。戦前、戦中、戦後、三つの時代の謎の身投げの真相は“幽女”の仕業か、何者かの為せる業か。謎と怪異に満ちる地方の遊郭を舞台に、ミステリランキングを席巻した“刀城言耶”シリーズ第六長編。
5位:『地の底のヤマ』西村健
~ あらすじ ~
昭和三十八年。福岡県の三池炭鉱で大規模な爆発事故が起きた夜に、一人の警察官が殺された。その息子・猿渡鉄男は、やがて父と同じく地元の警察官となり、事件の行方を追い始める。労働争議や炭塵爆発事故の下、懸命に生きる三池の人々と、「戦後の昭和」ならではの事件を描いた、社会派大河ミステリー。
6位:『楽園のカンヴァス』原田マハ
~ あらすじ ~
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは――。
7位:『カラマーゾフの妹』高野史緒
~ あらすじ ~
カラマーゾフ事件から十三年後。モスクワで内務省未解決事件課の特別捜査官として活躍するカラマーゾフ家の次男、イワンが、事件以来はじめて帰郷した。兄ドミートリーの無罪を証明し、事件の真相を確かめたい――ロシアでまだ誰も試みたことのない大胆な捜査方法を使い、再捜査を開始するイワンだったが、そこにまた新たな事件が起こり――。十三年前の真犯人は誰なのか。新たな事件は誰が、何のために起こしているのか、そして、謎解きの向こうに見えてくるものとは。
8位:『キングを探せ』法月綸太郎
~ あらすじ ~
繁華街のカラオケボックスに集う四人の男。めいめいに殺意を抱えた彼らの、今日は結団式だった。目的は一つ、動機から手繰られないようターゲットを取り換えること。トランプのカードが、誰が誰を殺るか定めていく。四重交換殺人を企む犯人たちと、法月警視&綸太郎コンビの、熾烈な頭脳戦をご堪能あれ!
9位:『奇面館の殺人』綾辻行人
~ あらすじ ~
季節外れの吹雪で孤立した館、奇面館。主人影山逸史に招かれた六人の客はそれぞれの仮面を被らされた。前代未聞の異様な状況下で、事件は進展する。主人の〈奇面の間〉に転がっていたのは、頭部と両手の指を切り落とされた凄惨な死体。六人の仮面には鍵がかけられていた。名探偵・鹿谷門実の圧巻の推理が始まる!
10位:『盤上の夜』宮内悠介
~ あらすじ ~
彼女は四肢を失い、囲碁盤を感覚器とするようになった―。若き女流棋士の栄光をつづった表題作をはじめ、同じジャーナリストを語り手にして紡がれる、盤上遊戯、卓上遊戯をめぐる6つの奇蹟。囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋…対局の果てに人知を超えたものが現出する。
海外編
1位:『解錠師』スティーヴ・ハミルトン
~ あらすじ ~
八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には才能があった。絵を描くこと、そしてどんな錠も開くことが出来る才能だ。孤独な彼は錠前を友に成長する。やがて高校生となったある日、ひょんなことからプロの金庫破りの弟子となり、芸術的腕前を持つ解錠師に……
2位:『占領都市 TOKYO YEAR ZERO Ⅱ』デイヴィッド・ピース
~ あらすじ ~
1948年1月26日。雪の残る寒い午後。帝国銀行椎名町支店に白衣の男が現われた。男が言葉巧みに行員たちに飲ませたのは猛毒の青酸化合物。12人が死亡、四人が生き残り、銀行からは小切手と現金が消えた。悪名高い“帝銀事件”である。苦悶する犠牲者たちのうめき、犯人の残した唯一の物証を追う刑事のあえぎ、生き残った若い娘の苦悩、毒殺犯と旧陸軍のつながりを知った刑事の絶望、禁じられた研究を行なっていた陸軍七三一部隊の深層を暴こうとするアメリカとソヴィエトそれぞれの調査官を見舞う恐怖、大陸で培養した忌まわしい記憶と狂気を抱えた殺人者。史上最悪の大量殺人事件をめぐる12の語りと12の物語―暗黒小説の鬼才が芥川龍之介の「薮の中」にオマージュを捧げ、己の文学的記憶を総動員して紡ぎ出す、毒と陰謀の黒いタペストリー。
3位:『無罪 INNOCENT』スコット・トゥロー
~ あらすじ ~
高名な判事サビッチの妻が薬物による変死を遂げた。事故死と思われたが、遺体発見から通報までに空白の一日があった。不審を抱いた検事局の捜査は、サビッチ判事に愛人がいたことを探り当てる。かつてサビッチを殺人罪で訴追し、敗訴した検事モルトの手で、再びサビッチは法廷に。嘘と真実と駆け引きが白熱する裁判が始まる!
4位:『湿地』アーナルデュル・インドリダソン
~ あらすじ ~
レイキャヴィクの湿地にあるアパートで、老人の死体が発見された。侵入の形跡はなし。何者かが突発的に殺害し逃走したらしい。ずさんで不器用、典型的なアイスランドの殺人。だが、残されたメッセージが事件の様相を変えた。明らかになる被害者の過去。肺腑をえぐる真相。
5位:『失脚 / 巫女の死 デュレンマット傑作選』フリードリヒ・デュレンマット
~ あらすじ ~
「トンネル」……いつも乗り慣れた列車だが、気づくともうずいぶんトンネルに入ったまま。不審に思って車掌を探すと…。ありふれた日常が知らぬ間に変貌を遂げる。皮肉と寓意に満ちながらかつ底知れぬリアリティに戦慄させられる物語。
「失脚」……粛清の恐怖に支配された某国の会議室。A~Pと匿名化された閣僚たちは互いの一挙手一投足に疑心暗鬼になり、誰と誰が結託しているのか探ろうとしている。だが命がけの心理戦は思わぬ方向に向かい…。
「故障」……自動車のエンストのために鄙びた村に一泊することになった営業マン。地元の老人たちと食事し、彼らの楽しみである「模擬裁判」に参加するが、思わぬ追及を受けて、彼の人生は一変する…。
「巫女の死」……実の父である王を討ち、実の母と結婚するというオイディプスの悲劇。しかし当時政治の行く先を決めていたのは、「預言」を王侯に売る預言者たちであった。死を目前にした一人の老巫女が、驚愕の告白を始める…。
6位:『ファイアーウォール』ヘニング・マンケル
~ あらすじ ~
19歳と14歳の少女がタクシー運転手を襲う事件が発生。逮捕された少女たちは金ほしさの犯行だと自供、反省の色はない。あまりにふてぶてしい二人の態度。尋問の席で母親を殴った少女に腹をたてたヴァランダーは思わず彼女に平手打ちを食らわせてしまう。ところがその瞬間の写真を新聞に掲載されてしまったのだ。
7位:『都市と都市』チャイナ・ミエヴィル
~ あらすじ ~
ふたつの都市国家〈ベジェル〉と〈ウル・コーマ〉は、欧州において地理的にほぼ同じ位置を占めるモザイク状に組み合わさった特殊な領土を有していた。ベジェル警察のティアドール・ボルル警部補は、二国間で起こった不可解な殺人事件を追ううちに、封印された歴史に足を踏み入れていく……。
8位:『バーニング・ワイヤー』ジェフリー・ディーヴァー
~ あらすじ ~
突然の閃光と炎。それが路線バスを襲った。送電システムの異常により変電所が爆発したのだ。電力網を操作する何者かによって引き起こされた攻撃だった。FBIは科学捜査の天才リンカーン・ライムに捜査協力を依頼する。果たして犯人の目的は何か?人質はニューヨーク―史上最大の犯罪計画に、ライムと仲間たちが挑む!
9位:『天使のゲーム』カルロス・ルイス・サフォン
~ あらすじ ~
魂を売った作家を翻弄する数奇で哀しい運命。
1917年、バルセロナ。新聞社から短篇を書くチャンスを与えられた17歳のダビッド。憧れの“塔の館”で執筆活動を続けていたある日、謎の編集人から、高額の報酬と望むものを与えるというオファーを受ける…。
10位:『鷲たちの盟約』アラン・グレン
~ あらすじ ~
1943年、アメリカ合衆国。10年前に大統領就任目前のルーズヴェルトが暗殺され、未だに大恐慌の悪夢から脱せずにいるこの大国は、今やポピュリストに牛耳られた専制国家と化している。ポーツマス市警のサム・ミラー警部補はある晩、管内で発見された死体の検分に向かうが、その手首には6桁の数字の入れ墨があった―。現代史上の“if”を大胆に敷衍した緊迫感溢れる歴史改変巨編。