国内編
1位:『ノックス・マシン』法月綸太郎
~ あらすじ ~
2058年4月、上海大学で20世紀の探偵小説を研究していたユアン・チンルウは、国家科学技術局から呼び出される。博士論文のテーマ「ノックスの十戒」第5項が、史上初の双方向タイムトラベル成功に重要な役割を担う可能性があるというのだ。その理由を探るべく、実験に参加させられた彼が見たものとは―。表題作「ノックス・マシン」、名探偵の相棒たちが暗躍する「引き立て役倶楽部の陰謀」などを含む中篇集。
2位:『教場』長岡弘樹
~ あらすじ ~
この教官に睨まれたら、終わりだ。全部見抜かれる。誰も逃げられない。
警察学校初任科第九十八期短期課程の生徒たちは、「落ち度があれば退校」という極限状態の中、異色の教官・風間公親に導かれ、覚醒してゆく。
必要な人材を育てる前に、不要な人材をはじきだすための篩、それが警察学校だ。
3位:『ブラックライダー』東山彰良
~ あらすじ ~
「世界は瀕死だが、まだ息絶えちゃいない」。<六・一六>により文明を失ったアメリカ大陸。生き残った者は人と牛を掛け合わせた“牛”を喰って命を繋ぐ。保安官バード・ケイジは、四十頭の馬を強奪したレイン一味を追い、大西部を駆ける。道すがら出逢ったのは運命の女コーラ。凶兆たる蟲の蔓延。荒野に散るのは硬貨より軽い命。小説の面白さ、その全てを装填した新たなる黙示録。
4位:『アリス殺し』小林泰三
~ あらすじ ~
大学院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。ある日ハンプティ・ダンプティが墜落死する夢を見た後大学に行ってみると、玉子という綽名の男が屋上から転げ落ちていた。次に見た夢の中でグリフォンが生牡蠣で窒息死すると、現実でも牡蠣を食べた教授が急死。そして不思議の国では、三月兎と頭のおかしい帽子屋が犯人捜しに乗り出していたが、なんとアリスが最重要容疑者に……。悪夢的メルヘンが彩る驚愕の本格ミステリ!
5位:『死神の浮力』伊坂幸太郎
~ あらすじ ~
娘を残虐に殺された小説家の山野辺は苦しみのなかにいた。著名人であるが故にマスコミからの心無い取材に晒され、さらに犯人とされていた男・本城が第一審で無罪になったのだ。しかし、山野辺は彼が犯人であることを「知っていた」。 彼はサイコパスと呼ばれる反社会的人格者で、 自分が犯人である証拠を、山野辺宛てに送ってきていたのだった――。
控訴の猶予期間は二週間。山野辺とその妻、美樹は一時的に自由の身になった本城を探し、動き始める。そこに千葉という男が現れ「本城の居場所を知っている」と言う。 山野辺夫妻は半信半疑ながらも、この妙な男と行動を共にすることにする。山野辺夫妻・千葉チーム対サイコパス本城の勝負の行方は?
今回、千葉が「担当している」のは誰なのか? そして調査の結果は?
6位:『リバーサイド・チルドレン』梓崎優
~ あらすじ ~
僕らは、確かに生きている。君という人間を、僕は憶えている。カンボジアの地を彷徨う日本人少年は、現地のストリート・チルドレンに拾われた。「迷惑はな、かけるものなんだよ」過酷な環境下でも、そこには笑いがあり、信頼があった。しかし、あまりにもささやかな安息は、ある朝突然破られる――。突如彼らを襲った、動機不明の連続殺人の真相とは? 激賞を浴びた『叫びと祈り』から3年、カンボジアを舞台に贈る鎮魂と再生の書。
7位:『リカーシブル』米澤穂信
~ あらすじ ~
越野ハルカ。父の失踪により母親の故郷である坂牧市に越してきた少女は、母と弟とともに過疎化が進む地方都市での生活を始めた。たが、町では高速道路誘致運動の闇と未来視にまつわる伝承が入り組み、不穏な空気が漂い出す。そんな中、弟サトルの言動をなぞるかのような事件が相次ぎ……。大人たちの矛盾と、自分が進むべき道。十代の切なさと成長を描く、心突き刺す青春ミステリ。
8位:『検察側の罪人』雫井脩介
~ あらすじ ~
老夫婦殺人事件の容疑者の中に、時効事件の重要参考人が。執念を燃やす検事・最上だが、後輩の沖野は強引な捜査方針に疑問を抱く。人が人を裁くとは?怒涛の展開、そして慟哭のラスト!
手堅い仕事ぶりで定評のある実力派検事・最上毅。彼には忘れられない事件があった。学生の頃、下宿していた寮の大家の娘が、卒業して下宿を出た4年目の春に殺害されたのだ。犯人逮捕に至らず、法改正で時効が撤廃される前に時効が成立してしまった。事件当時司法試験に足踏みをしていた最上には何の力にもなれなかった悔いだけが残った。その寮の先輩だった新聞記者の水野は週刊誌に転身してまで、事件を執拗に追い犯人と思しき人物の調査をしていた。その事件とは関係なく老夫婦が殺害されるという凶悪事件が最上の勤める管内で起きた。捜査線上にあがった不審人物のひとりに聞き覚えがあった。それは、大家の娘が殺された事件で重要参考人にあがっていた松倉という男だった……。
9位:『星籠の海』島田荘司
~ あらすじ ~
瀬戸内の小島に、死体が次々と流れ着く。奇怪な相談を受けた御手洗潔は石岡和己とともに現地へ赴き、事件の鍵は古から栄えた港町・鞆(とも)にあることを見抜く。その鞆では、運命の糸に操られるように、一見無関係の複数の事件が同時進行で発生していた――。
10位:『ロスト・ケア』葉真中顕
~ あらすじ ~
戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奥に響く痛ましい叫び―悔い改めろ!介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、善悪の意味…。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る!
海外編
1位:『11/22/63』スティーヴン・キング
~ あらすじ ~
平凡な国語教師ジェイクは死期の迫った友人アルから「1958年にタイムトラベルできる扉」の存在を知らされる。その扉は常に1958年に通じており、「過去」でどんなに長く過ごそうとも、「現在」に戻ればわずか数分しか経過していないという性質をもっていた。アルはジェイクに果たせなかった夢を託す――ケネディ大統領暗殺の阻止。アルは何度も過去へ旅をし、暗殺阻止を試みてきた。しかし「歴史」は容易な改変を拒み、企ては失敗を繰り返してきた。ジェイクは友人の悲願を引き継ぐことを約束した。
ジェイクは「過去」へと旅をして、そこで暮らしながら歴史との戦いを開始した。しかし歴史改変は困難をきわめた。ある悲劇を阻止すれば別の悲劇が発生し、ジェイクは苦悩する。何度も旅を繰り返し、ジェイクは徐々に暗殺の核心へとにじり寄ってゆく――
2位:『遮断地区』ミネット・ウォルターズ
~ あらすじ ~
バシンデール団地に越してきた老人と息子は、小児性愛者だと疑われていた。ふたりを排除しようとする抗議デモは、彼らが以前住んでいた街で十歳の少女が失踪したのをきっかけに、暴動へ発展する。団地は封鎖され、石と火焔瓶で武装した二千人の群衆が襲いかかる。医師のソフィーは、暴徒に襲撃された親子に監禁されて…。現代英国ミステリの女王が放つ、新境地にして最高傑作。
3位:『冬のフロスト』R・D・ウィングフィールド
~ あらすじ ~
寒風が肌を刺す1月、デントン署管内はさながら犯罪見本市と化していた。幼い少女が行方不明になり、売春婦が次々に殺され、ショットガン強盗にフーリガンの一団、“怪盗枕カヴァー”といった傍迷惑な輩が好き勝手に暴れる始末。われらが名物親爺フロスト警部は、とことん無能な部下に手を焼きつつ、人手不足の影響でまたも休みなしの活動を強いられる…。大人気警察小説第5弾。
4位:『シスターズ・ブラザーズ』パトリック・デウィット
~ あらすじ ~
粗野で狡い兄・チャーリー。普段は優しいが、キレると大変なことになる弟・イーライ。悪名とどろく凄腕の殺し屋シスターズ兄弟は、雇い主の“提督”に命じられ、ある山師を消しにサンフランシスコへと旅立つ。ゴールドラッシュに沸く狂乱のアメリカ西海岸で、兄弟は何に出遭い、何を得て、そして何か失うのか?
5位:『夜に生きる』デニス・ルヘイン
~ あらすじ ~
禁酒法時代末期のボストン。市警幹部の息子ながら、今はギャングの手下になっていたジョーは、強盗に入った賭博場で魅惑的な美女エマと出会う。二人はたちまち恋に落ちるが、彼女は敵対組織のボスの情婦だった。やがて起きる抗争。その渦中、エマに惚れていたがためにジョーの運命は大きく狂っていく……街の無法者から刑務所の囚人へ、そしてそこから再びのし上がらんとする若者を待つ運命とは?
6位:『ポーカー・レッスン』ジェフリー・ディーヴァー
~ あらすじ ~
名探偵リンカーン・ライムに持ち込まれたプロの殺し屋による殺人。だが現場には犯人の痕跡が何もなかった。「犯人は犯罪の現場に必ず微細な証拠を残す」という原理を裏切る難事件を描く「ロカールの原理」他、多彩なドンデン返しであなたを驚愕させる16の物語。だまされる快感を満載した巨匠の短編集。
7位:『イン・ザ・ブラッド』ジャック・カーリイ
~ あらすじ ~
刑事カーソンが漂流するボートから救い出した赤ん坊は、謎の勢力に狙われていた。収容先の病院には怪しい男たちによる襲撃が相次いだ。一方で続発する怪事件―銛で腹を刺された男の死体、倒錯プレイの最中に変死した極右の説教師…。すべてをつなぐ衝撃の真相とは?緻密な伏線とあざやかなドンデン返しを仕掛けたシリーズ第五弾。
8位:『終わりの感覚』ジュリアン・バーンズ
~ あらすじ ~
穏やかな引退生活を送る男のもとに、見知らぬ弁護士から手紙が届く。日記と500ポンドをあなたに遺した女性がいると。記憶をたどるうち、その人が学生時代の恋人ベロニカの母親だったことを思い出す。託されたのは、高校時代の親友でケンブリッジ在学中に自殺したエイドリアンの日記。別れたあとベロニカは、彼の恋人となっていた。だがなぜ、その日記が母親のところに?
9位:『ゴーン・ガール』ギリアン・フリン
~ あらすじ ~
ニックは34歳、ニューヨークで雑誌のライターをしていたが、電子書籍の隆盛で仕事を失い、2年前に妻エイミーとともに故郷ミズーリ州の田舎町に帰ってきた。しかし、両親ともに高名な童話作家で、その人気児童文学シリーズのモデルでもあったニューヨーク育ちのエイミーにとって、この田舎町での生活は決して満足するものではなかった。
そんななか、結婚5周年の記念日にエイミーが突如謎の失踪を遂げる。家には争った形跡があり、確かなアリバイのないニックに容疑がかけられる。次々とニックに不利な事実が浮上するなか、彼はみずから妻探しを始めるが、その一方で何かを隠すかのように嘘を重ねるのだった……。
ニックの語る結婚生活と、交互に挿入されるエイミーの日記。夫婦双方の言い分からなるふたつの物語が重なるとき――。大胆な仕掛けと息苦しいほどの緻密さで描写される夫婦のリアルな愛憎劇、やがて浮かび上がる衝撃の真実とは――。
10位:『緑衣の女』アーナルデュル・インドリダソン
~ あらすじ ~
男の子が拾った人間の骨は、どう見ても最近埋められたものではなかった。現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。サマーハウス関係者のものか。それとも軍の関係か。付近の住人の証言に現れる緑のコートの女。封印されていた哀しい事件が長いときを経て捜査官エーレンデュルの手で明らかに。